睡眠と医療

Apple Watchの睡眠データの見方 — レム・コア・深い睡眠・覚醒は何を表しているか

Apple Watchをつけて眠ると、iPhoneの「ヘルスケア」アプリに、「覚醒」「レム睡眠」「コア睡眠」「深い睡眠」の4つに色分けされたグラフが記録されます。けれども、「深い睡眠が20分しかないけれど大丈夫?」「覚醒が10回以上あるのは多すぎる?」と、見方に迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、Appleが公開している技術資料をもとに、4つの段階がそれぞれ何を表しているのか、Apple Watchはどうやって睡眠を測っているのか、その記録をどこまで信頼してよいのかを整理します。

はじめに

この記事は、睡眠アプリ「Sleepa」を開発している株式会社Medisenseの共同設立者で、エンジニアのMasaが書いています。Medisenseは、睡眠を専門とする医師が代表を務める会社です(Sleepaを作った理由)。

睡眠の記録を見るには

睡眠の記録は、iPhoneの「ヘルスケア」アプリの「睡眠」や、Apple Watchの「睡眠」アプリで見られます。それぞれの段階にいた時間と、全体に占める割合も表示されます。

きちんと記録するためのポイントは、次の3つです。

  • 睡眠スケジュール(就寝時刻と起床時刻)を設定し、「Apple Watchで睡眠時間を記録」をオンにしておく
  • 寝る前に、Apple Watchを30%以上充電しておく
  • Apple Watchをつけたまま眠る

なお、iOS 18とwatchOS 11からは、睡眠スケジュールの外の睡眠(昼寝など)も記録されるようになりました。ただし、4つの段階に分けて記録されるのは、まとまった睡眠が3時間を超えたときです。1〜3時間の短い睡眠は、「眠っていた」「起きていた」の2つだけが記録されます。

4つの段階は、医学の睡眠の段階とこう対応している

医学では、脳波などの記録から、睡眠を「覚醒」「レム睡眠」と、3段階の「ノンレム睡眠」(N1・N2・N3)に分けます。N1がいちばん浅く、N3がいちばん深い眠りです。Apple Watchの4つの段階は、これと次のように対応しています。

覚醒

目が覚めている状態です。眠りについた後の、夜中の短い覚醒も含まれます。

覚醒が何回も記録されていると、不安になるかもしれません。けれども、正常な睡眠でも、夜中には短い覚醒が何度も起きています。Appleの資料でも、短い覚醒は正常な睡眠によくあることで、本人は気付かないことがある、と書かれています。覚醒が記録されていること自体は、異常ではありません。

レム睡眠

目がすばやく動く(Rapid Eye Movement)ことから名付けられた睡眠で、夢を見ていることが多い段階です。脳は起きているときに近い活動をしている一方、体の筋肉はゆるんでいます。一晩の中で何度か現れ、明け方に近づくほど長くなる傾向があります。

コア睡眠

ノンレム睡眠のN1とN2をまとめたもので、ほかの睡眠アプリでは「浅い睡眠」と呼ばれることもあります。グラフの中でいちばん長いのが、たいていこのコア睡眠です。

「浅い睡眠が多い」と聞くと悪いことのように感じますが、そうではありません。N2は一晩の睡眠の半分以上を占めることも多い、ごく正常で大切な睡眠です。Appleは、「浅い」という言葉で誤解されないように、あえて「コア(中心)」という名前を付けたと説明しています。

深い睡眠

ノンレム睡眠のN3で、脳波がゆっくりした大きな波になることから「徐波睡眠」とも呼ばれます。眠りについてから最初の数時間に多く現れ、明け方には少なくなります。また、深い睡眠は、年齢とともに少なくなることが知られています。

それぞれ、どれくらいあればいい?

いちばん気になるのは、ここだと思います。実は、年齢や人によって違うため、「深い睡眠が何分あれば正常」という決まった基準はありません。

参考になる数字として、AppleがApple Watchの精度を確かめた研究の参加者(平均47歳、166人)の睡眠を見てみましょう。脳波などを使った精密な検査で測ったところ、眠っていた時間のうち、コア睡眠が約66%、レム睡眠が約21%、深い睡眠が約13%でした。眠りについた後の覚醒は、平均で35分ほどありました。

ただし、これは研究に参加した人たちの平均で、「健康な人の基準」ではありません。自分の数字がこれと違っていても、すぐに心配する必要はありません。

Apple Watchの睡眠の記録は、どこまで正確?

Apple Watchは、脳波を測っているわけではありません。手首の動きをとらえるセンサー(加速度センサー)で、寝返りのような大きな動きから、呼吸にともなう小さな動きまでをとらえ、30秒ごとに4つの段階のどれにあたるかを推定しています。

Appleの資料によると、精密な検査と比べた結果は次のとおりです。

  • 眠っている時間は、ほとんど(約97%)を正しく「眠っている」と判定できる
  • 起きている時間を「覚醒」と判定できたのは約75%。iOS 26とwatchOS 26の改良で、約79%に上がった
  • 段階の取り違えでいちばん多いのは、実際の深い睡眠を「コア睡眠」と判定するもの

つまり、目は覚めているけれど体はじっとしている時間は、「眠っている」と記録されることがあります。また、深い睡眠は、実際より少なく記録されている可能性があります。1晩の数字を細かく気にするより、何日分かの傾向を見るほうが、Apple Watchの記録を上手に使えます。

グラフを見るときの4つのポイント

  1. 1晩ではなく、1週間の傾向で見る:睡眠は日によって変わります。平日と休日を含めた1週間ほどの記録を並べると、自分の睡眠のパターンが見えてきます。
  2. 短い覚醒は気にしすぎない:覚醒の回数より、長い覚醒が毎晩のように続いていないか、眠りにつくまで時間がかかる日が多くないかを見てみましょう。
  3. 深い睡眠が少なくても、あわてない:年齢による変化や、記録の誤差もあります。少ない日が続くときは、寝る前のお酒やカフェイン、寝る時刻のずれなど、生活の中に思い当たることがないか振り返ってみてください。
  4. 自分の感覚と並べて見る:「眠れなかった」と感じた日の記録を見ると、思ったより眠れていることがあります。感じている睡眠と実際の睡眠のずれは「睡眠誤認」と呼ばれ、不眠の相談では珍しくありません。

日中の強い眠気で生活に困っている、大きないびきや睡眠中に呼吸が止まっていることを指摘された、眠れない日が続いてつらい、といったときは、Apple Watchの記録だけで判断せず、医療機関に相談してください。

グラフを読むのが難しいと感じたら

ここまで読んで、「やっぱり自分でグラフを読み解くのは難しい」と感じた方もいるかもしれません。私たちが作った睡眠アプリ「Sleepa」は、Apple Watchの睡眠の記録を読み込み、毎晩の睡眠グラフと、Sleepa独自の「睡眠スコア」を表示します。

Sleepaの睡眠グラフと睡眠スコアの画面。覚醒・レム睡眠・コア睡眠・ディープ睡眠が時間ごとに表示され、スコアの内訳も見られる

睡眠スコアは100点満点で、「時間」(30点)、「効率」(布団にいた時間のうち眠っていた割合、20点)、「段階」(20点)、「呼吸」(血中酸素、15点)、「覚醒」(15点)の内訳も確かめられます。たとえば「段階」では、深い睡眠が13%以上、レム睡眠が18%以上あるかを目安にしています(Sleepaの中での目安で、医学的な基準ではありません)。

さらに、ホーム画面の「睡眠を分析」を押すと、過去30日間の記録をまとめて分析し、その結果をAIが短い文章で説明します。分からないことは、AIにそのまま質問することもできます。数字やグラフを自分で読み解かなくても、言葉で自分の睡眠を知ることができます(AIによる分析の紹介)。

Sleepaは、最初に起動してから7日間、すべての機能を無料でお試しいただけます(無料期間が終わっても、自動で料金がかかることはありません)。

参考:Apple「Estimating Sleep Stages from Apple Watch」(2025年10月更新)、Appleサポート「Apple Watchで睡眠を記録してiPhoneで「睡眠」を使う」


Sleepa — 睡眠を科学するアプリ

Apple Watchで計測した睡眠データを、AIによる睡眠分析や睡眠日誌と合わせて振り返ることができます。Sleepaの詳しい紹介はこちら。

App Storeからダウンロード

※ご利用にはApple Watch(Series 6以降)とiOS 26以降のiPhoneが必要です。AIによる文章と質問は、Apple Intelligenceに対応したiPhoneで使えます。

ご利用にあたって:本アプリは医療機器ではありません。分析結果は参考情報であり、医療診断ではありません。気になる症状がある場合や、睡眠の状態に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

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