睡眠アプリはたくさんありますが、Sleepaは、睡眠を専門とする医師が中心になって作ったアプリです。医師がなぜ、診察室の外で使うアプリを作ろうと考えたのか。この記事では、Sleepaが生まれた理由をお話しします。
はじめに
この記事は、Sleepaを開発している株式会社Medisenseの共同設立者で、エンジニアのMasaが書いています。Medisenseは、医師の木村、弁護士の浅田、エンジニアの私の3人で、2024年8月に設立した会社です。1年あまりの開発を経て、2025年11月にSleepaをApp Storeで公開しました。
Sleepaを監修している医師
代表の木村 紀久は、兵庫県川西市で木村メディカルクリニックを営む医師です。脳神経内科(神経内科)が専門で、睡眠の悩みのほか、パーキンソン病や認知症などの診療にあたっています。Sleepaの機能の考え方や、アプリの中の睡眠についての説明は、木村の臨床での経験をもとにしています。
- 木村メディカルクリニック 院長、医療法人紀翔会 代表
- 東北大学医学部 臨床准教授
- 神経内科専門医、日本睡眠学会認定医
- 東京大学理学部物理学科 卒業
※大学の役職は、木村個人の経歴として記載しています。Sleepaは、大学の研究の成果や、大学が推奨するものではありません。
不眠の診療は「話を聞くこと」が中心
意外に思われるかもしれませんが、不眠の診療では、患者さんの話を聞くこと(問診)が診断の中心になります。何時ごろ布団に入り、何時ごろ目が覚めたか。夜中に何回起きたか。眠れなかったと感じるのは、どんな日か。医師は、患者さんの話から睡眠の状態を推し量ります。
睡眠を客観的に測る検査には、ポリソムノグラフィ(PSG)があります。脳波や呼吸、血中酸素などを一晩かけて記録する精密な検査ですが、多くは医療機関に泊まって受けるもので、誰もが気軽に受けられるわけではありません。また、記録できるのは検査をした晩だけです。
そのため多くの場合、医師は「眠れていない」という本人の感覚を手がかりに、治療を考えることになります。
「眠れていない」と「眠れていない気がする」は違う
ところが、本人の感覚と実際の睡眠は、いつも一致するとは限りません。正常な睡眠でも、夜中には短い覚醒が何度も起きています。ほとんどは本人が覚えていないほど短いものですが、覚醒と覚醒の間まで「起きていた」と感じてしまうと、「一晩中眠れなかった」という感覚になります。
実際にはある程度眠れているのに、眠れていないと感じている状態を「睡眠誤認」といいます。木村は、不眠の相談で来院する方の中に、この睡眠誤認の方が少なくないと話しています。睡眠誤認については、「睡眠誤認」とはなにかで詳しく書きました。
薬を考える前に、まず確かめたい
眠れないことがつらいとき、睡眠薬は大切な選択肢です。必要な方にとっては、欠かせない治療です。一方で、睡眠薬の中には依存などに注意が必要なものもあり、必要以上に長く使い続けないよう、適正な使い方が呼びかけられています。
体の病気なら、検査で状態を確かめてから治療を始めるのが普通です。睡眠も同じように、まず自分の睡眠が実際にどうなっているのかを知ることから始めたい。それが、Sleepaの出発点でした。
なお、すでに睡眠薬を飲んでいる方は、自己判断で量を減らしたり、やめたりしないでください。薬のことは、必ず処方した医師に相談してください。
Apple Watchなら、毎晩の睡眠を自宅で記録できる
そこで目を付けたのが、Apple Watchです。Apple Watchは、手首の動きをとらえるセンサーの情報から、睡眠を「覚醒」「レム睡眠」「コア睡眠」「深い睡眠」の4つに分けて推定しています。
精密な検査と同じ精度があるわけではありません。けれども、いつもどおり自宅で眠りながら、毎晩、何週間でも記録を続けられます。1晩だけの検査では分からない、日ごとの変化や、その人の睡眠のパターンが見えてきます。
「眠れていない」という感覚と、Apple Watchの記録を並べて見られれば、自分の睡眠を知る手がかりになるのではないか。医師とエンジニアで話し合いを重ねるうちに、Sleepaの形が決まっていきました。Apple Watchの記録の読み方は、Apple Watchの睡眠データの見方にまとめています。
Sleepaで大切にしていること
Sleepaには、診療の現場の考え方を取り入れたところがいくつかあります。
- 感覚も記録する:診療で使われる「睡眠日誌」をアプリにして、Apple Watchの記録と同じグラフで見比べられるようにしました(睡眠日誌の紹介)。
- 判定はルールで、AIは説明だけ:睡眠の状態の判定は、あらかじめ決めたルールで行い、AIはその結果を読みやすい文章にするだけにしています。判定の基準を、医師が確かめられる形にしておくためです(AIによる分析の紹介)。
- 診断はしない:Sleepaは医療機器ではなく、病気の診断はしません。気になる結果が出たときに、医療機関に相談するきっかけにしていただくことを目指しています。
- データはiPhoneの中で:睡眠のデータは、健康に関わる大切な情報です。分析とAIの文章づくりはiPhoneの中で行い、睡眠のデータを外部のAIのサービスに送ることはありません。
これから
Medisenseは、「情報通信の力によって医療を幸福にする」ことを目指しています。毎日の暮らしの中で得られるデータを、自分の体を知ることに役立て、いつかは医療と患者さんをつなぐことにも役立てたい。Sleepaは、その最初の一歩です。
このサイトのコラムでは、睡眠について知っておきたいことや、Sleepaの使い方を紹介していきます。ご意見やご質問は、お問い合わせからお気軽にお寄せください。
Sleepa — 睡眠を科学するアプリ
Apple Watchで計測した睡眠データを、AIによる睡眠分析や睡眠日誌と合わせて振り返ることができます。Sleepaの詳しい紹介はこちら。
※ご利用にはApple Watch(Series 6以降)とiOS 26以降のiPhoneが必要です。
ご利用にあたって:本アプリは医療機器ではありません。分析結果は参考情報であり、医療診断ではありません。気になる症状がある場合や、睡眠の状態に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
