朝、Apple Watchの睡眠の記録を開くと、「覚醒」が何回も記録されている。「自分はこんなに夜中に起きていたの?」と心配になったことはありませんか。
先に結論を書くと、覚醒が何回か記録されていること自体は、珍しいことではありません。この記事では、Apple Watchの「覚醒」が何を表しているのか、どれくらいが平均的なのか、覚醒が増える理由と、回数よりも見てほしいことを整理します。
はじめに
この記事は、睡眠アプリ「Sleepa」を開発している株式会社Medisenseの共同設立者で、エンジニアのMasaが書いています。Medisenseは、睡眠を専門とする医師が代表を務める会社です(Sleepaを作った理由)。Apple Watchの4つの睡眠の段階の基本は、Apple Watchの睡眠データの見方で説明しています。
Apple Watchの「覚醒」とは
Apple Watchの睡眠の記録には、「覚醒」「レム睡眠」「コア睡眠」「深い睡眠」の4つの段階があります。このうち「覚醒」は、目が覚めている状態です。眠りについたあとの、夜中の短い目覚めも含まれます。iPhoneの「ヘルスケア」アプリの「睡眠」では、覚醒の時間と、睡眠全体に占める割合を確かめられます。
大切なのは、正常な睡眠でも、夜中には短い覚醒が何度も起きていることです。その多くは短いもので、本人は覚えていないことがよくあります。Appleの資料でも、短い覚醒は正常な睡眠によくあることで、本人は気付かないことがある、と説明されています。
Apple Watchは、こうした「覚えていない目覚め」まで記録します。そのため、「1回も起きた覚えがないのに、覚醒が10回もある」ということが起こります。記録に覚醒があること自体は、異常ではありません。
覚醒の平均は、どれくらい?
覚醒は、回数よりも、眠りについたあとに起きていた時間の合計で考えるのが一般的です。参考になる数字をいくつか紹介します。
- 約35分:AppleがApple Watchの精度を確かめた研究の参加者(平均47歳、166人)を、脳波などを使った精密な検査で測ったところ、眠りについたあとに起きていた時間は、平均で35分ほどでした。
- 年齢とともに長くなる:健康な人の睡眠を調べた研究をまとめた分析では、大人になってからも、年齢が上がるにつれて夜中に起きている時間は長くなり、布団の中で眠っている時間の割合(睡眠効率)は下がっていくことが分かっています。
- 「31分以上」が週3回以上:不眠症の研究では、寝つくまでの時間、または夜中に起きている時間が31分以上の夜が、週に3回以上、6か月以上続くことを、不眠症の目安のひとつとして使うことがあります。
つまり、夜中に合わせて30分前後起きていることは、決して珍しくありません。ただし、これらは研究で使われた数字で、「これを超えたら異常」という線ではありません。覚醒の回数についても、「何回までなら正常」という決まった基準はありません。
Apple Watchの「覚醒」の記録には、誤差もある
Apple Watchの睡眠の段階は、手首の動きや心拍などから推定したものです。Appleの研究では、精密な検査で実際に起きていた時間のうち、Apple Watchが「覚醒」と判定できたのは約75%で、iOS 26とwatchOS 26の改良で約79%に上がりました。
言いかえると、実際に起きていた時間の2割ほどは、「眠っていた」と判定されていることになります。布団の中でじっとしたまま起きている時間は、眠っている時間と見分けにくいためです。記録の覚醒の時間は、あくまで目安として見てください。
覚醒が増える、よくある理由
いつもより覚醒が多い夜には、次のような理由が隠れていることがあります。
- 寝る前のお酒:お酒は寝つきをよくするように感じますが、夜の後半の眠りを浅くし、目が覚めやすくします。
- カフェイン:寝る6時間前にとったカフェインでも、睡眠が乱れることが研究で示されています。コーヒーや緑茶、エナジードリンクは、午後の早い時間までにしておくと安心です。
- 夜中のトイレ:寝る前の水分のとり方や、年齢、前立腺などの病気によって、夜中にトイレで目が覚めることが増えます。
- 寝室の環境:暑さや寒さ、物音、明かりで、目が覚めやすくなります。
- 不安やストレス:心配ごとがあると、心と体が緊張した状態が続き、眠りが浅くなります(不眠の原因は何か)。
- いびきや睡眠時無呼吸:眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりすると、そのたびに短く目が覚めます。本人は気付いていないことも多くあります。
- 痛みやかゆみ:腰や関節の痛み、皮膚のかゆみなども、夜中の目覚めの原因になります。
回数より見てほしい3つのこと
覚醒の回数に一喜一憂するよりも、次の3つを見てみてください。
- 長い覚醒が毎晩のように続いていないか:短い覚醒が何回あっても、すぐにまた眠れているなら心配はいりません。気にしたいのは、夜中に目が覚めて、そのまま長い時間眠れない夜が続いていないかです。1晩だけでなく、1〜2週間の記録を並べて見てみましょう。
- 日中の調子:昼間に強い眠気がある、集中できない、疲れが取れないといった不調がなければ、覚醒の記録が多くても、睡眠は足りていることがほとんどです。
- 自分の感じ方とのずれ:「一晩中眠れなかった」と感じた夜に、記録では短い覚醒が何回かあるだけ、ということがあります。覚醒と覚醒の間の時間まで「起きていた」と感じてしまう「睡眠誤認」と呼ばれる状態です(「睡眠誤認」とはなにか)。毎朝、自分がどう眠れたと感じたかを書き留めておくと、記録と見比べられます。
記録の数字を気にしすぎると、それ自体が不安のもとになり、かえって眠りを浅くすることもあります。記録は、自分の睡眠を知るための材料として使ってください。
こんなときは、医療機関に相談を
次のような場合は、早めに医療機関に相談してください。そのとき、Apple Watchの記録は、医師と話すための材料になります。
- 夜中に目が覚めて30分以上眠れない夜が、週に何回もあり、それが何週間も続いている
- 大きないびきや、眠っている間に呼吸が止まっていることを指摘された
- 夜中にトイレで何度も起きる
- 日中の強い眠気で、仕事や運転に支障が出ている
- 気分の落ち込みや、何をしても楽しめない状態が続いている
Sleepaでできること
私たちの睡眠アプリ「Sleepa」では、Apple Watchの記録をもとに、覚醒を次のように確かめられます。

- 覚醒の回数と時間:毎晩の「覚醒回数」と、覚醒・レム睡眠・コア睡眠・ディープ睡眠それぞれの時間を表示します。グラフでは、覚醒がいつ、どれくらいの長さだったかが分かります。
- 感じ方と見比べる:睡眠日誌をつけると、グラフの下に同じ時間の目盛りで重ねて表示され、「起きていたと感じた時間」と記録とのずれがひと目で分かります(睡眠日誌の紹介)。
- 30日の傾向:「睡眠を分析」を押すと、過去30日間の睡眠時間や寝つき、夜中の目覚めの傾向を、AIが短い文章でまとめます(AIによる分析の紹介)。
Sleepaは、病気の診断をするアプリではありません。自分の睡眠を知り、医師と話すための材料として使ってください。最初に起動してから7日間、すべての機能を無料でお試しいただけます(無料期間が終わっても、自動で料金がかかることはありません)。
まとめ
- 正常な睡眠でも、夜中には短い覚醒が何度も起きている。記録に覚醒があること自体は異常ではない
- Appleの研究の参加者(平均47歳)では、眠りについたあとに起きていた時間は平均35分ほど。年齢とともに長くなる
- Apple Watchの覚醒の記録は推定で、実際に起きていた時間の2割ほどは「眠っていた」と判定されている
- お酒、カフェイン、夜中のトイレ、寝室の環境、不安、いびきなどで覚醒は増える
- 回数より、長い覚醒が続いていないか、日中の調子、自分の感じ方とのずれを見る
- 長く眠れない夜が続くとき、いびきや呼吸の停止、強い眠気があるときは、医療機関へ
参考:Apple「Estimating Sleep Stages from Apple Watch」(2025年10月更新)/Ohayon MM ほか「Meta-analysis of quantitative sleep parameters from childhood to old age in healthy individuals」Sleep 27(7), 2004/Lichstein KL ほか「Quantitative criteria for insomnia」Behav Res Ther 41(4), 2003/Ebrahim IO ほか「Alcohol and sleep I: effects on normal sleep」Alcohol Clin Exp Res 37(4), 2013/Drake C ほか「Caffeine effects on sleep taken 0, 3, or 6 hours before going to bed」J Clin Sleep Med 9(11), 2013
Sleepa — 睡眠を科学するアプリ
Apple Watchで計測した睡眠データを、AIによる睡眠分析や睡眠日誌と合わせて振り返ることができます。Sleepaの詳しい紹介はこちら。
※ご利用にはApple Watch(Series 6以降)とiOS 26以降のiPhoneが必要です。AIによる文章は、Apple Intelligenceに対応したiPhoneで使えます。
ご利用にあたって:本アプリは医療機器ではありません。分析結果は参考情報であり、医療診断ではありません。気になる症状がある場合や、睡眠の状態に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
